「約束」涙の君を【完】




川から少し離れて、

大きめの石に座り、祥太たちを眺めた。



祥太は太一くんと一緒に網を持って、獲り方を教えていた。





「いけ!」



「わあ!!獲った!!すっげー!!


お兄ちゃん、すっげー!」





祥太は、太一くんたちと、なんだか楽しそうだった。



6年生の頃、ひとりで川で魚獲っていたもんね……




網を持っている祥太を見て、あの夏を思い出した。





「やめろって!こら!やめろ!」



なぜか水をかけられ始めた祥太が、


急いで川から上がって来た。





「お兄ちゃんのこと、父ちゃんと母ちゃんに言ってやるー!」




太一くんたちが、あはははっと大笑いした。


祥太は、少し濡れた髪をパサパサっと揺らしてから、私の隣に座って来た。


濡れてしまった祥太に、バッグを返した。


確か、さっきおばあちゃんからタオルを渡されていたから……


そう思って、バッグを指差した。



「ん?」


首を傾げた祥太が、

少し濡れた髪で、いつもと違う雰囲気だったから、


ちょっとドキッとした。




私はポーチからボードを出した。




【うちのタオル入っているでしょ?使って】



祥太は、ボードを覗いて、


それから水色のシャツを私の膝から取った。



「それは使わないよ」



私は首を振った。






祥太は、バッグとシャツを脇に置いた。



「タオルは、

ばあちゃんから、発作が出た時に使うように、

渡されたんだ。



あと、薬と、水筒も。



発作が出た時の対処法も教えてもらった。


薬とタオルは、


俺……常に持っているようにするから」