「約束」涙の君を【完】




一日中祥太と話せるなんて……



そんな日が早くきてほしい!




でもどうやったら声が出るんだろう。



何か良い方法……




う〜ん……




そうだ‼




私は良い考えが浮かんで、急いでボードに書いた。



【びっくりした時に、思わず声が出るとかないかな】


私はウキウキしながら、ボードを見せた。


「そんな簡単な問題じゃないだろ」




【やってみなくちゃわかんないじゃん!】




ボードの言葉を見て、祥太は少し考えて、


そして立ち上がった。



「わかった。


ちょっと、待ってな」




祥太は川原を少し歩いて、草むらの中に入っていった。



そしてまた戻ってきて、私の隣に座り、

「ほら」と、祥太は手を開いて私に見せた。




い、いやあああああ‼‼





「……っ はっ……」




祥太の手から大きなコオロギが飛び出し、頭の中では絶叫していたのに、


やっぱり声は出なかった。



「な。

焦んなって。


そのうち、出てくるから」



私は首を振った。


【もう一回!】


祥太は、また立ち上がった。




「優衣。


少し歩こう」




ちょっと、困ったような顔をした祥太が、


私に手を伸ばしてきた。