祥太の後に続いて外に出ると、
もう、夏の空が広がっていた。
青い空
大きな白い雲
祥太は、自転車に乗り、バッグを外して前カゴに入れた。
自転車で行くの……
おばあちゃんの自転車借りようかな…
庭の真ん中で、考えていたら、
祥太がこっちを向いた。
「優衣」
祥太は私の名前を呼んで、
自転車の後ろを軽く叩いた。
後ろ……
一瞬にして、昨日後ろに乗った時の事を思い出した。
顔が熱くなるのを感じながら、祥太の元に駆け寄った。
「走らなくていいよ」
あ、つい……
ますます顔が熱くなってしまった私を見て、祥太は笑った。
自転車の後ろに乗ると、祥太は振り返って、
やっぱり腕を自分のお腹に回した。
「坂道だから、ちゃんとつかまってろよ」
そう言って、走り出した。
祥太の背中から見る景色は、
いつも見る景色と全然違って見えた。
いつもよりも、緑も青も、
みんな色が濃くて綺麗で、
白は眩しいほど輝いて見えて……
坂道に入り、
自転車のペダルをこがずに、
少し早いスピードで駆け下りた祥太の背中に、
ぎゅっと強くしがみついた。