次の日の朝、やっぱり二人とも帰ってこなくて、
しかたなく、お父さんの携帯にも電話してみたんだけど、
知らないの一言だった。
学校に行っても何も頭に入らず、
あと少しで卒業だとみんなが浮かれている中、
ひとり沈んでいた。
家に帰ると、おばあちゃんが来てくれていた。
「まぁ、東京なんて行かねぇから、合鍵いらねぇ言ってたけど、
やっぱり役に立ったなぁ」
おばあちゃんは、鍵を見せた。
おばあちゃんが家に来たの、何年振りだろう……
「おばあちゃん、疲れなかった?道迷わなかった?」
おばあちゃんは、あはははっと手を叩いて笑った。
「わかるわけなかろうが!
駅のお巡りさんに住所見せて聞いたんだ。
へへっ」
おばあちゃんはそう笑ったかと思うと、ソファーに腰掛けて「さて…」と、真顔になった。
私は、高校に合格したことと、お母さんが最近体調が悪かったこと、
お兄ちゃんの進路が決まらないことを話した。
「離婚したことは…知っているよね?」
おばあちゃんはびっくりしていた。
この反応は知らなかったな…
「いつ?」
「3年ぐらい前」
「そうかぁ……」
おばあちゃんは、はぁ…とため息をついた。
「警察に捜索願い出すかね」
「え!警察?」
「とにかく、警察に相談はしておいた方がいいだろうって、じいちゃんが。
何か事件にでも巻き込まれていたら大変だろうし。なぁ…」