私は、はっとして目を開け、
隣のおばあちゃんを見ると、
おばあちゃんは目を閉じ手を合わせたままだった。
「うん。なんとか、やってる」
私はそれだけ言って、目を閉じた。
お兄ちゃんは、私よりも3つ上の中学3年。
つい最近、「発達障害」を抱えていると、
はっきり診断された。
本当はもっと早くから、気づいていた。
わかっていたはずなんだ。
でも、
学校の先生から発達障害を疑われ、
検査を勧められても、
お母さんは「うちの子は普通です」って、
頑なにそれを否定し、拒否していた。
だから、診断が遅れてしまったんだ。
本当はうまくやってなんかない。
私が小学校に入学した時は、
お兄ちゃんは4年生で、
「あいつの妹か...」
生徒たちからも先生からも、そんな目で見られていた。
お兄ちゃんは、相手の気持ちを察することが苦手で、
すぐに切れてしまう。
落ち着きがない。
人の嫌がることをしてしまう。
それは、中学3年になっても、
変わらない。
もっと早くから診断されていて、
もっと早くから適切な指導を受けていれば、
少しは違ったんじゃないかって.....
おばあちゃんはそう言ってお母さんを責めた。
疲れきっているお母さん。
家にほとんど帰ってこないお父さん。
でも.....
私にとっては、大切なお兄ちゃんなんだ。