それでも頑張って毎日中学に通ったのは、
部活の存在が大きかった。
私は中学から吹奏楽部に入部し、毎日ひたすら練習に励んだ。
先輩たちは最初、お兄ちゃんの妹として見ている感じだったけど、
だんだんと、私を私としてみてくれるようになり、
顧問の先生も、私の頑張りを認めてくれて、
少しずつ、自分の居場所を学校に見出していた。
お兄ちゃんも、高校では先生のフォローもあって、
なんとか毎日高校に通っていた。
毎日目の前のことで必死になっていたけど、
夏がくると、
蝉の声を聞くと、
祥太を思い出していた。
結局、
中学の3年間、
一度もおばあちゃんの家にいくことはなかった。
あの夏の日、
また会いにくるからと約束したのに、
約束を果たせなかった。
きっと、祥太は私のことなんか、
忘れている。
きっと祥太は、
あの場所で、
幸せに暮らしていると
自分に言い聞かせ、
また、心の奥にしまいこんだ。