祥太は目の前まで上ってきた。
「ありがとう、優衣。
あんま、頑張りすぎんなよ。
俺、そのまんまの優衣が、
好きだから」
祥太は顔を真っ赤にして、目をそらした。
「私も祥太が好きだよ。
もう、今年みたいに長くは泊まれないけど、
来年の夏も、また祥太に会いにくるから。
絶対に…約束する……」
祥太は唇を噛み締めて頷いた。
約束のかわりに私も祥太に何かを渡したいと、
ポケットの中を探ったけど、
空のポケットだった。
何か…と思った時、
ふと髪のゴムを思いつき、
ポニーテールを結っていたヘアゴムを引っ張って外した。
すると胸の下まである髪が、さらさらとほどけた。
「なにしてんだよ」
祥太は何故か焦っていた。
私は、水色と白のゴムがくるくると絡み合ったスプリングヘアゴムを、
祥太の手をとって腕に通した。
「次、会う日まで祥太が持っていて」