「じいちゃんから神社に行ったって聞いて…」
祥太は短い髪をかいた。
【その日まで、優衣には笑っていてほしい】
ふと、祥太の言葉を思い出した。
…そうだよ、またきっと会える。
だから泣かないで笑って別れよう。
祥太は、短パンのポケットをゴソゴソとしてから、
私に右手を開いて差し出してきた。
「やる」
「え……」
祥太の手の中を見ると、
緑色の石があった。
「こっちに越して来て初めて川に行った時に、
見つけたんだ。
光に透かすと、すげーきれいだったから、
ずっと持ってた。
だから、優衣にやる」
そう言って、一段上がって来て、
私の手を掴んで、石を握らせた。
「じゃあ、元気でな」
ちょっとふてくされながらそう言って、
祥太はくるりと方向を変えて、下り始めた。
「待って!祥太!」



