木々の間に、苔と土にうもれた、
石段が見えた。
まっすぐ山の上に続いている石段。
「234段あるから、頑張りなー」
え。そんなに...まじか...
ゆっくりと登るおばあちゃんの後ろから、
ついていくことにした。
緑に囲まれているせいか、
すこしひんやりとした。
蝉の声がやたらとうるさくて、
いつ、虫が出てきてもおかしくないぐらい、
うっそうとした緑のトンネル。
よく、毎月こんな長い石段を上って
神社に手を合わせているなぁ...と、
100段目を越えたあたりで、
おばあちゃんを尊敬した。
そして、200段目を越えたあたりで、
石の鳥居をくぐり、
小さな神社が見えてきた。
「ふうーーー」っと、おばあちゃんは、神社につくと、
大きく伸びをして、深呼吸をした。
私も真似をしてみると、
すごく、気持ちが良かった。
賽銭箱に、ふたつ小銭を入れると、
おばあちゃんは、
神社の屋根にある大きな鈴から垂れているボロボロの紐を引っ張った。
ガラン ガラン
なんともいえない、不思議な音だった。
おばあちゃんが手を合わせ目を閉じたから、
私も急いで真似をすると、
「お兄ちゃんは、どうだ。うまくやっているか?」
おばあちゃんがそうぽつりとつぶやいた。