私がいつまでも俯いていると、
「ほら」
と、祥太は何か細い物を見せた。
「ぎゃあーー‼トカゲ‼」
驚いた私に反して、祥太はポカンとしていた。
「トカゲじゃねーよ。ヤモリだよ」
いや、そう言う問題じゃなくて。
「ほら、もう一匹いた」
そう指をさした先は私の足元で…
「いやああああー‼」
思わず、祥太の手をギュッと掴んだ。
「ウソだよ」
くっ、くっそぉ……
「祥太ぁ‼」
バシバシと祥太の肩を叩くと、祥太は「ごめん、ごめん」と笑った。
こんな、他愛もないことを、ずっと一緒にしていたかった。
魚や虫の名前にやたらと詳しい祥太。
生き物や自然が大好きな祥太。
笑った時の優しい眼差し
ちょっとかすれた声
私、
祥太が、好きだなって……
生まれて初めての気持ちに、
気づいた。



