「約束」涙の君を【完】




次の日、祥太のお父さんが、おばあちゃんの家に、とうもろこしのお礼を言いにきた。


お父さんは、祥太にあまり似ていなかったけど、

優しそうなところは、同じだと思った。



それから本当に毎日のように、


祥太と一緒にいた。



川で水遊びしたり、山の神社に行ったり、



また、こっそり研究所に忍び込んだり、


ひまわり畑でおにごっこしたり。



お父さんが仕事で遅くなる時は、


一緒に夕ご飯も食べて、


お父さんが迎えにきて、


お父さんもおばあちゃんの家で夕ご飯を食べてから帰る…なんて日もあった。







祥太に出会ってから、


毎日が楽しすぎて、



楽しすぎて……





終わりがあるってことも、


ちゃんとわかってた。


夏休みが終われば、


私は、東京に帰る。



もう、しばらくこっちには来れない。



つまり、





しばらく祥太には会えない。




わかってた。






思い出が増えれば増えるほど、



別れが辛くなることも、



わかっていた……






「どうした?優衣?」







裏山の神社の石段に二人で座って一休みしている時、


祥太が隣から顔を覗き込んできた。



「私、ずっとここにいたいな……」




そう言って膝に顔を埋めた。




祥太は、何も言わなかった。




私が顔をあげると、



祥太は目をそらした。




「まだ、帰るまで日があるだろ…

その日まで、


優衣には、笑っていて欲しい」