「約束」涙の君を【完】






「優衣、ありがとな」



私は思い切り首を振った



「いつ帰る…東京に」




「30日には、帰る」




「そっか…」





それから祥太は黙ってしまった。



うつむいてしまった祥太に、私が小指を出すと、祥太が顔を上げた。


「約束。


毎日遊ぼう。




毎日、毎日毎日……


祥太に会いたい


祥太とずっと…一緒にいたい」





祥太は、網を地面に置いた。



そして小指に自分の小指絡ませた。






「わかった。




約束する」




「絶対、絶対?」



祥太は、ふっと笑った。



「絶対に、約束する」




「うん」と私が思いっきり笑ってうなずくと、



祥太は、下を向いて笑った。





指を離すと、祥太はバケツの引っかかった網を肩にかけて、



「じゃ、また明日な…」



と、背中を向けて歩き出した。





田畑の間のあぜ道、

夕日に向かって帰っていく祥太の後姿を、


見えなくなるまでずっと、



ずっと見つめていた。




祥太は、何度も振りかえって、



いつまでもいる私に、



笑いながら




帰って行った。