それからとうもろこしをおじいちゃんも一緒に食べて、
とうもろこしを縦に食べていくおじいちゃんの食べ方をみんなで笑って、
すっかり外は日が暮れてきてしまっていた。
「祥太、またいつでも来な。
毎日来りゃいい」
縁側でビーチサンダルを履いている祥太に、おじいちゃんが声をかけた。
「うん」
祥太は、そう頷くとまるで女の子みたいにかわいく笑った。
祥太、いっぱい笑うようになった……
「ほれ、これは父ちゃんの分のとうもろこしだ。
父ちゃんによろしくな」
おばあちゃんは、とうもろこしがたくさん入ったビニール袋を祥太に渡した。
「ありがとう…ばあちゃん」
「なんだ!祥太!じいちゃんも、『じいちゃん』って呼んでくれや!」
「なんだぁ?やきもちかあ?」
おばあちゃんは、お腹を抱えて大笑いした。
おじいちゃんは優しく微笑んで、祥太の頭をゆっくりとゆっくりと何度も撫でた。
「この前はごめんなぁ…
あんなこと言われたら祥太は嫌だよなぁ…
ごめんなぁ…
祥太は父ちゃんのことで、なんも悩まなくていい。
頑張らなくていい。
そのまんまでいりゃあ、いつかきっと、みんな周りが変わってくる。
大丈夫だ」
祥太は両目をギュッと閉じた。
そして大きな目を開けると、
「ありがとう…じいちゃん」
と、絞り出すような声で言った。
「私、庭先まで送ってくる」
私が網とバケツを持つと、
祥太はおじいちゃんとおばあちゃんに深く頭を下げてから、
歩きだした。
祥太はしばらく何も話さなかった。
もう、森の奥に太陽が沈みかけていて、
空が夕焼けでオレンジ色に染まっていた。
夕焼けに向かってまっすぐのあぜ道をしばらく行くと、「ここでいいよ」と祥太が立ち止まった。
私が網にバケツを引っ掛けて祥太に渡すと、
祥太はそれを肩にかけた。



