1学期終業式
蒸し暑い体育館で、ぼんやりと立って、先生の話を聞き流していた。
やっと話が終わり、あおいと杏と一緒に教室に戻ろうと、廊下を歩いた。
「水沢先輩って綺麗だよね……」
「彼氏いるよね、だって左手の薬指に指輪してるよ」
後ろからひそひそ声がしてきた。
「優衣、綺麗って言われてるよ。
それに、その指輪。
祥太も、左手の薬指につけておくなんて、
考えたね~」
「考えた?」
「そうだよ、そこにつけておけば、
男除けになるじゃん」
男除け……祥太そんなつもりでつけたんじゃないと思うけど……
「今年も明日帰ってくるの?
去年も確か、終業式の次の日だったよね」
「それが……」
「え?帰ってこないの?」
杏が驚いたように言った。
「そうじゃなくて、
今日、終業式終わり次第新幹線に乗って帰ってくるみたい」
「あははははっ!!!
どんだけ早く優衣に会いたいんだよ!
ウケる!!」
杏とあおいは、手を叩いて笑った。
「変わらないんでしょ?
優衣と祥太は」
私たちは……
「うん、全然変わらない……」