私は入場券を改札に入れて、


勢いよくホームに飛び出した。





祥太………






祥太……………





私はホームを走って、電車の中を探した。




いない



いない





いた……「祥太!祥太!!!」






電車に向かって叫んでも、




聞こえるはずもなく、





その時、太一くんが気づいてくれて、



祥太の肩を叩いて、私を指差してくれた。






祥太は急いで電車の窓を開けた。





その時、電車がゆっくりと動きだし、



私もゆっくりと電車と同じ方向へと歩き出した。





「待ってるからね!」



「うん」



「メールするからね!」



祥太は頷いた。



「返信一言だけじゃなくていっぱいしてよ!」



「はははっわかった」



だんだん速度を上げる電車に、


私も速度を上げて走った。




おいていかないで……



私も連れて行って………





本当の気持ちをぐっと堪えた。





もう、ホームが終わっちゃう……





「変わらないで………祥太……




祥太ーーーー!!!」








ホームの端まで来てしまって、




その場にしゃがみこんだ。




「好きだよ……祥太……」







我慢していた涙が一粒こぼれたら、




もう、抑えることはできなかった。







明日から、ひとり。






強くならなくちゃ……




頑張れ……私。




大丈夫、




絶対に大丈夫。










私は両手で目をこすると、




立ち上がった。





どんどん小さくなっていく、祥太を乗せた電車を見つめた。





手を振ろうとは思わなかった。




だって、必ずまた会える。











そっか……私が東京に帰る時、



祥太が手を振らなかったのは、



また会えると思ったからなんだ……





私たちは、付き合い出してからじゃない。



小6の夏からずっと、




ずっと繋がっているんだ。





私の元から、祥太の元までずっと続いている線路。




大丈夫。


私と祥太は、



この先もずっと、




ずっと繋がっている。




電車は見えなくなり、



静かになった、空っぽの駅から、



外に出た。





そしてまぶしいぐらいの青空を見上げた。





顔を上げて、上を向いて……





うん。もう、大丈夫。







その時、携帯が鳴った。


「もしもし?あおい?



うん。今見送った。


大丈夫だよ。

泣いてないって……




今から?



うん!わかった!」