次の日
朝、早めにバスに乗り、駅へと向かった。
入場券を買うと、駅の外に出て、祥太を待った。
しばらく駅の外にあるベンチで待っていたら、
バスが来て、
祥太と太一くんと、
お父さん、お母さんが下りて来た。
「優衣……」
私は祥太の元に駆け寄って、
お父さんとお母さんに頭を下げた。
「優衣ちゃん……本当にごめんなさいね」
お母さんが謝って来た。
私は思いっきり首を振った。
「離れても、気持ちは変わらないので……大丈夫です」
お母さんもお父さんも、優しく微笑んでくれた。
「こんなかわいい彼女、お兄ちゃんにはもったいないよ」
「うるせーな太一」
祥太は、太一くんの頭をぽんと軽く叩いた。
「いってーな!叩くなよ!」
「ほらほら……」と、お母さんが太一くんを抑えた。
「祥太、先にホーム行っているから」
お父さんたちは、駅の中へと入って行った。
駅の前で、向き合ったまま、
しばらく黙ってしまった。
その時、太一くんが走って来た。
「お兄ちゃんの切符だって」
太一くんは、切符をぐっと祥太に差し出した。
「ありがとな」
太一くんはまた、駅の中へと走って行った。