「いえ……そんな悪いので……」
お父さんは優しく微笑んだ。
「遠慮しなくていいんだよ。
実はね、いつもお母さんと二人分のコーヒーを落としていてね。
いつもの癖で、二人分落としちゃったんだよ。
飲んでくれると助かるんだけど」
はははっと笑いながら、
ダイニングテーブルの椅子を引いて、座るように勧めた。
「じゃあ……いただきます」
「うん。座って座って」
私が椅子に座ると、
お父さんはカウンターの向こうに行って、
カップにコーヒーを注いだ。
「祥太がインフルエンザって聞いてね。
心配でね……
もう、高1だって言われても、
インフルエンザは心配だからね。
ちょっと過保護かなって思うけど、
祥太は僕の大切な息子だからね」
お父さんは、カップを二つ持ってきて、
私の前にひとつ置いた。
「ありがとうございます」
お父さんも私の向かい側の椅子に座ると、
コーヒーを一口飲んだ。
「祥太の誕生日の日に、
海に連れて行ってくれてありがとう」



