正門を抜け、橋を渡ると、
左に曲がった。
途中で、小さな酒屋とコンビニが合体した店に入り、
祥太に買って行くものを選んだ。
ゼリーとかかな……
あとは、飲み物かな……
何味が好きがわからなくて、
いろいろと買い過ぎてしまい、
自転車のカゴに入っていたバッグを押して、
ビニール袋を突っ込んだ。
前かごがずっしりと重くなり、
ハンドルが少しふらつきながら、
祥太の家へと自転車を走らせた。
祥太の家に着き、
一度深呼吸すると、インターフォンを押した。
……出ないか。
もう一度押すと、
カチャッとドアが開いた。
「あぁ……水沢さんとこの……優衣ちゃん……かな?」
ドアから顔を出したのは、
祥太のお父さんだった。
「こんにちは……あの……
突然来ちゃって……すみません。
インフルエンザって聞いて……あの、
いろいろと……」
ビニール袋をよいしょと持ち上げると、
お父さんは、あはははっと笑った。
「ずいぶん大量だね。
まぁ、上がりなさい」
お父さんに促されて、
玄関の中に入ると、
「部屋に行ってごらん。
熱が下がって、暇そうにしているだろうから」
と、階段を指差した。
「お邪魔します」
私は、階段をそっと上った。