祥太……
「3学期入って、少し離れてみたんだ。
ひとりで学校行かして、
ひとりで学校帰らせて、
あおいとかと、遊ぶように勧めたり。
ひとりでも優衣は大丈夫だって、
俺がいなくても、大丈夫だって思いたかったんだ。
じゃなきゃ……置いていけねぇ……
あんなに、すぐ泣いて、
ちっちゃいこと気にして、
すぐ不安になって……
俺……
ずっとそばにいてやりたかったんだ」
祥太は頭を抱えてしまった。
肩が大きく揺れて、
今、顔を見たらいけないと思った。
「大丈夫だ、祥太。
優衣ちゃんは、大丈夫だって。
俺らがついてるし、
優衣ちゃんは、良い子だから、
仲間もいっぱいいる。
支えてやれる奴はいっぱいいるって!
それに、東京なんてすぐだろ!
新幹線もあるし、高速バスだってある。
いつだってすぐに会えるじゃんか。
大丈夫だって!」
大丈夫しか言えない自分が情けなかった。
祥太はいつも淡々としていて、
こんなに、感情をあらわにした祥太を初めて見た。
小6に転校してきた時も、
超クールで都会っ子ぶりやがってって、
思ってたけど、
突然、「今日遊べる?」って聞いてきやがって、
一緒に遊んだら、超気が合って……
わかってんのか?
お前が転校するのを悲しんでいるのは、
優衣ちゃんだけじゃないんだぜ……
俺は、下唇を噛み締めて、上を向いた。
上を向かないと、情けないぐらい、
ボロボロに泣いてめっちゃかっこ悪いから。
「賢人……頼むな……
優衣を……頼む」
「おっおう!!まかしとけって!!」
俺は、上を向いたまま空に向かって叫んだ。
+++賢人side end+++