涙をこらえて話しているのが、横顔の表情だけでもわかった。



祥太はここで、辛い思いをして暮らしているんだ……



「だから、もう今はうまくやっていこうなんて思ってない。

自分から避けてる。

ひとりでもいいんだって。


父ちゃんのこと何も知らないくせに、悪く言う奴らなんて、こっちからごめんだし。

……って地元の奴じゃないお前に言っても関係ない話だよな」



祥太は、短髪の頭をかいた。



"父ちゃんのこと何も知らないくせに"




その言葉、私も思った事がある……



お兄ちゃんのこと、何も知らないくせに


お兄ちゃんだって、頑張っているのに


何も悪気なんかないのに.......





だから、祥太と同じ。



自分から、避けるようになった。



お兄ちゃんのこと、何も知らないくせに……って。