ずっと黙って座っていた祥太が、突然謝ってきたから、
バッと祥太の顔を見た。
祥太は、真っ直ぐ川を見つめていた。
「祥太は、謝らなくちゃいけないことなんて、
なんにもしてないじゃん」
そう言うと、祥太がこっちを向いたから、私は目をそらして下を向いた。
「謝るのは私の方だよ。
おじいちゃんがなんか…
なんて、言ったらいいのかなぁ…
うんと……なんか…ごめんね」
ちらっと祥太の方を見ると、目が合ってしまって、
また自分の抱えた膝を見た。
「おじいちゃんはね、悪気があって言った訳ではないから。
そんな、悪い人じゃないから、
おじいちゃんもおばあちゃんも。
優しくて、二人とも私の大切な人だから
そこは、わかってほしいな…」
また、ちらっと祥太を見ると、祥太は川の方を向いていた。
「俺さ、あんまり…この辺の人たちに良く思われてないから」
祥太のその言葉を聞いて、
この辺の人間じゃない私が、なんて声をかけたらいいのか、悩んでしまった。
何か良い言葉を…と、かける言葉を探している時、
祥太がその言葉の続きを、話し始めた。
「春休みに引っ越してきて、
最初は、ここに溶け込みたいとか、
友達を早く作ろうとか、
どうにかここで、うまくやっていく方法を考えていたんだ。
でも、どうしても父ちゃんのいる研究所の誤解もあって……
嫌な思いをし過ぎて。
ここで、うまくやっていくなんて無理なんだって、
つくづく思い知らされた」