祥太は少し考えてから、私の手を繋いで、
非常階段へと連れて行ってくれた。
ひんやりとした薄暗い階段に座ると、二人きりの世界になった。
私は祥太の肩にもたれて、目を閉じた。
すると、祥太が隣から抱きしめて、私の頭を撫でた。
「家に帰って休むか」
帰る……
私は首を振った。
「まだ祥太と一緒にいたい」
祥太はあやすかのように、また頭を撫でた。
「まだ、1時だから。今から帰ればゆっくり休めるよ」
私はまた首を振った。
「まだ、一緒にいたい……」
祥太はぎゅっと抱きしめてきた。
「じゃあ、俺の家で休むか?」
祥太の家で……
そうすれば、まだ一緒にいられる。
「うん」
私は頷いた。
祥太は私を離すと、「荷物取ってくるから待ってな」と、階段を下りて行ってしまった。
しばらく壁にもたれて、祥太を待った。
ひんやりとしたコンクリートの壁が、気持ちよくて、
私は目を閉じた。
「優衣」
祥太の声がして目を開けた。
私、少し寝ちゃってた……
祥太は自分と私の二人分のバッグを持っていた。
「立てるか?」
階段の下から私に手を伸ばしたから、
私はその手を掴んだ。
ゆっくり立ち上がると、少し寝たせいかだいぶ頭痛がよくなっていた。
手を繋いで賑やかな中庭を通り、校舎脇の駐輪場へ向かった。



