「約束」涙の君を【完】





ヤキモチを妬き過ぎて、不貞腐れていたら、あおいが戻ってきた。




そして、賢人くんも戻ってきた。




「ごめんね……優衣。交代しよ」




あおいは今朝よりも、だいぶ元気になっていた。



「仲直り……した?」



私があおいの顔を覗き込むと、あおいは顔を赤くした。



「うん……まぁ」



「そっか。よかった!」



あおいは、嬉しそうに笑った。




「優衣、終わりそう?」



ついたてと壁の間から祥太が声を掛けてきた。



「あぁ、祥太も優衣も、交代してもらっちゃってごめんね。


後はやっとくから、ゆっくり回ってきて」


あおいは私の背中を押した。




私はビニール手袋を外して、祥太の元に行くと、

祥太は私の手を繋いできた。



そのまま廊下に出ると、ジロジロと見られて、思わず下を向いた。



「着替えてくるから、ここで待ってろ」



祥太は、男子たちの更衣室になっている教室に入っていった。






しばらく待っていると、いつもの制服姿の祥太が出てきた。




それから一緒に校内を回って、食べたり飲んだりしたんだけど、



ジロジロと見られて、すごく嫌だった。




何を見ているんだろう……




見て何をコソコソ話しているんだろう……





今まで気にしないようにしてきたのに、


気にしないように、なってきたと思っていたのに、


まだこんなに、人の目が怖くて……




大勢の人がいる文化祭が、少し怖くなった。




明日私、できるかな……



ちゃんと、接客できるかな……




明日の不安と、人にジロジロ見られる恐怖で、


なんとなく頭が痛くなってきてしまった。


「優衣?どうした?」




祥太が立ち止まって、顔を覗き込んできた。





「ちょっと……座りたい……」






祥太は私の手を引っ張って中庭のベンチに座らせた。



「使うか?」と、ポケットからタオルハンカチを出してきたから、


「大丈夫。ちょっと頭が痛いだけだから」と、


その手を止めた。





顔を上げると、屋台とたくさんの人で盛り上がっていて、



通り過ぎていく人が、




また、こっちを見て何か言ってる……




「祥太……私、人がいない所に行きたい」