バケツと網で両手がふさがっている祥太。
私は傘を拾い、顔を上げると、
目の前にいた祥太はもういなくて…
くるっと振り返ると、
祥太は背中を向けて、道に出る階段がある方へ、歩いていた。
「ねぇ…待ってよ…」
そう声をかけても、祥太は立ち止まる事なく、
階段を上って歩いていってしまい、
私のいる場所から祥太が見えなくなった。
…仲良くなれそうだったのに。
その日の夜、
布団に入り、祥太のことを思い出していた。
祥太の笑顔を思い出すたびに、
触れた手の感触を思い出すたびに、
胸がドキドキした。
仲良くなりたいな……
また明日川に行ってみよう。
そう心に決めて、
私は目を閉じた。