長いキスの後、
手を繋いで祥太の肩にもたれた。
いろんな話をした。
お母さんのこと
お兄ちゃんのこと
お父さんのこと
中学でのこと……
どんな話をしても、祥太はちゃんと聞いてくれて、
優しく頷いてくれた。
何時の間にか、太陽が水平線に沈みかけていて、
あっという間に海の中に溶けていく太陽を、
二人で眺めた。
太陽が沈んだ周りの空と海は、
オレンジ色に輝いていて、
その色は徐々に水平線に吸い込まれ、
藍色の空と海となった。
「帰るか……」
祥太は立ち上がって、手を伸ばしてきた。
私は、その手を掴んで立ち上がり、二人でまた、朝来た道を戻った。
駅へと続く道に曲がる時、
ふと振り返って、もう一度海を見ると、
笑いながら、祥太を追いかけたことを思い出した。
もう……大丈夫。
「どした?」
顔を覗き込んだ祥太に、「ううん」と首を振って、
駅へとまた、歩き出した。