それから結局、二人で水の掛け合いになった。
「優衣ー!!先帰るなぁ!
とうもろこし茹でるから。
家、来てもらいなあー」
川原の向こうの道から、
おばあちゃんがそう叫んだ。
「わかったー!」
水をかけ合うのをやめると、
また祥太は暗い顔に戻った。
「ね。とうもろこし食べない?
おばあちゃんの畑のとうもろこし、甘くておいしいよ?」
「やめとくよ」
祥太は、岸へと歩き出した。
だから私も急いで後を追った。
そして、川の中でビーチサンダルを脱いで、
じゃぶじゃぶと洗ってから、
川から出た。
「これ、ありがとう」
ビーチサンダルを返すと、
祥太はそれを履いて、バケツを持って魚を川に返した。
そして、飼育ケースの小魚も川に返していた。
私は足の裏の小砂利を手で払って、
乾いてから靴下と靴を履き、
祥太の荷物のあるところまで行った。
「どうしてもダメ?」
祥太は水筒を斜めがけして、
空のバケツの中に、空の飼育ケースを入れて、
網を持った。
「それ、傘、ありがとな」