朝起きて、部屋の窓から空を眺めると、雲一つない快晴に、思わず目を細めた。
今朝は、少し肌寒いくらいで、もう秋なんだな……と思いながら、
出かける準備をした。
どこに出かけるのかわからないけど、
これってデート……だよね。
私は、クローゼットの中をゴソゴソとして、
唯一持っていたピンクベージュのシフォンワンピースを取り出した。
おかしくないかな……
とりあえず、ワンピースを着て、こげ茶の細いベルトをして、
部屋にある鏡の前に立った。
いつも、制服以外はパンツばっかだったから、
スカート姿、しかもワンピース姿が見慣れない。
寒いかな……
袖は七分だけど、裾が短い。
自分の足元を眺めて、スカートの裾を持ち上げてみた。
………大丈夫か。
そして、長いストレートの髪を今日は巻いて、
バッグを肩にかけ、部屋を出た。
「いやぁ、優衣、かわいいなぁ」
おばあちゃんは、私を見るなり目を細めた。
「今日は祥太と……デートだからさ」
「そうかぁ。お小遣いやるからな」
おじいちゃんが戸棚から財布を出した。
「あ……まだ先月のお小遣いがあるからいいよ」
「んな、遠慮すんな。かわいい洋服でも買いな」
おばあちゃんがそう言うと、おじいちゃんが、お小遣いをくれた。
「ありがとう……私、働いたら絶対に返すから。
長生きしてね」
おばあちゃんは、あはははっと笑った。
「んじゃ、長生きしないとな」
その時、庭先に祥太が見えたから、
私は、縁側に出た。
祥太は庭先に入り、私を見るなり、
ピタッと立ち止まった。