お茶を乗せたお盆を持って、祥太と居間に戻ると、
「やったぁ‼」
となんだか盛り上がっていた。
「焼き肉だ、祥太。買い物行くから手伝え」
「あ、俺も行く!」
賢人くんが立ち上がると、
背の高い二人に囲まれたおじいちゃんが、いつもよりも小さく感じた。
「買い物行ってくるから。
優衣、ばあちゃんが戻ってきたら、焼き肉だぁ伝えてくれ。
んじゃ、行くか」
縁側から3人出ると、
車に乗って行ってしまった。
女子だけになると、
「あおいは?どうなの、賢人と」
と、杏が話し始めた。
あおいは顔が真っ赤になった。
「どうって……」
私も麦茶を配って座ると、
あおいは麦茶をごくっと飲んだ。
「好きなんでしょ?賢人のこと」
杏がさらに突っ込んで聞くと、あおいはまた麦茶を飲んだ。
「好き……うん。好きだよ。
でもそれは、友達として好きなんだと思う」
「そうかなぁ。
あおいは賢人に触られると、ドキドキしない?」
あおいはさらに顔を赤くした。
「友達に触られても、ドキドキなんてしないよ」
杏はそう言ってお茶を飲んだ。
あおいは、真っ赤な顔で下を向いた。
「友達って抑えていたものを、なくしちゃったら、
私、賢人といられない」



