祥太は私の机の上にパックジュースをふたつ並べた。
「そんな…教えてもらっているのに…
私が払うよ」
私がバッグから財布を取ろうとしたら、祥太が私の手を掴んだ。
「このぐらい、おごらせろよ。
ほら、どっちか取れ」
そう言って、そのまま掴んだ手を机の上に置いた。
「じゃあ…こっち」
私は紅茶を取った。
「ありがと、祥太」
「どういたしまして」
祥太は笑って、ストローを口にくわえた。
その時、教室の窓にポツポツと雨があたる音がしてきた。
「あ……雨だ」
さっきまで晴れていたのに。
遠くで雷も鳴っている。
そういえば、初めて祥太に出会った時も、
夕立ちだった。
「あの日も、夕立ちだったよな」
祥太も覚えているの……?
私はスカートのポケットから、
緑色の石を取り出して、
そっと祥太に見せた。
すると、祥太はパックジュースを机に置いて、
ズボンのポケットから鍵を取り出した。
その鍵のキーホルダーに、
水色と白のゴムが絡み合った、
あの日渡した髪ゴムがぶら下がっていた。