周りのみんなの顔を見るのが怖くて、
机を見つめたまま椅子に座った。
「水沢、顔をあげてごらん」
先生に優しく言われて、私は顔を上げた。
「水沢は、みんなと同じだ。
何も特別な子じゃない。
みんなと同じ、普通の高校生だ。
堂々としていればいい。
わかったな」
みんなと同じ……
「先生、水沢さんは、普通の高校生じゃないよ」
一人の男子が言い出した。
「倉木、なんでそう思う?」
「めちゃめちゃかわいいから!」
あはははっと、生徒たちが笑い出した。
「残念でしたー。水沢さんは結城くんと付き合っているんだから」
ガヤガヤと騒がしくなり、先生が「結城、付き合ってたのか?」と聞くと、
パッと静かな教室に戻った。
先生に言われ、みんなの視線が祥太に集中すると、
祥太は頬杖をやめた。
「はい。付き合ってます」
おぉぉぉ~~
『お~』という声の影で、泣いている子もいて……
陽菜は違うクラスだから今はいないけど、
もしこの場にいたら、どうなっていただろうかと思った。