おじいちゃん……
「俺、こっちに引越してきて、
じいちゃんと、ばあちゃんに初めて会った時の事を、
今でもすげぇ……覚えている。
この辺の大人はみんな嫌な奴ばっかだって思ってたけど、
二人は、
二人だけは違った。
大学のイメージがよくなったら急に態度を変える奴もいたけど、
じいちゃんとばあちゃんは、ずっと最初から、変わらない。
ずっと優しくしてくれた。
感謝しているのは、俺の方だよ。
ありがとう」
祥太はまた、頭を下げた。
「優衣を、頼むな……祥太」
おじいちゃんが優しく言うと、
祥太は顔を上げ、「はい」と返事をした。
「ほれ、遅刻するぞ!
学校行ってこい!」
おばあちゃんに促されて、縁側から外に出た。
「いってきます」
私が振り返って言うと、
「行ってこい!」て、二人で笑って言ってくれた。
庭先に停めてある自転車のところに行くと、
祥太は私のバッグを持って、前かごに入れ、
左腕の黒い腕時計を見た。
「やばい、急ごう」
急いで自転車に乗ると、やっぱり私の腕を自分のお腹に回して、
自転車をこぎ出した。



