手を引かれて、2階から階段を降りると、
下駄箱前の廊下には、まだ生徒たちが何人かいた。
「ちょっと、あれ見て……」
「誰?転入生?」
「結城くんと付き合ってんの?」
ジロジロと見られ、何を言われても、祥太は全く動じる事なく、
平然と靴を履き替えていた。
玄関を出ると、4、5人ぐらいの女子たちが、
じっとこちらを見ていた。
その中にいた……東条陽菜。
祥太は気にする事なく、
また私の手を引いて、
校舎脇の駐輪場へと向かった。
二人で自転車を引き、
また玄関前に出て来ると、
陽菜たちが、近づいてきた。
「結城くん」
祥太が立ち止まったから、私も少し後ろで止まった。
「何?」
陽菜は一歩祥太に近づいた。
「さっきはちょっと言い過ぎちゃったかなって……
ごめんね。
だって、なんか納得できなくて……」
「別に」
祥太がまた歩き出した。
「ちょっと、水沢さん」
わ、私?
何か言われる……と思った時、
私と陽菜の間に、
祥太が戻ってきた。
「優衣を傷つけたら、相手が誰であろうと、
俺が許さないから。
行こう、優衣」