う。うわぁぁ……
教室にいた生徒達が、立ち止まって私たちを見た。
「……マジか、結城の彼女だったのかよ」
「……結城じゃ、しょうがねーな」
「……やっぱり結城くんの彼女だったんだ」
「……俺のだって、いいなぁ」
色々言われて、恥ずかし過ぎて、顔が熱くて、
下を向いた。
「祥太って、そういう奴だったんだ……
意外……」
杏の肩にあおいがポンと手をのせた。
「それ、私も花火大会の時思ったから」
「あ、俺も思ったから」
賢人くんがそう言って、あおいの肩に手を置くと、
あおいが嫌そうにその手を払った。
「なんだよ、冷てぇな!
祥太は優衣ちゃんとこれからイチャイチャすんだから、
俺らは帰ろうぜ。
んで、あおいんちで、テストのお勉強でもしようぜ」
イ、イチャイチャって……
「なんか、毎日私のうちにたまってない?」
「あおいのうちは落ち着くからね」
「杏もそう思うだろ?
じゃあ行こうぜ。
じゃあな、祥太。
また明日な優衣ちゃん」
賢人くんは「おら、いつまでも見てんなよ、帰れ帰れ!」と、
周りの生徒に教室から出るように言ってくれた。
教室に二人きりになり、
急に静かな教室になった。
ずっと祥太は私の手を離さなくて、
ずっと俯いたままで……
心臓がものすごい勢いで動いているのが、祥太にバレちゃうんじゃないかと気になって、
でも、抑えられなくて……
「あのさ……」
突然、沈黙の中祥太が口を開いたから、
祥太を見上げた。
「俺んちで、勉強するから。
……行こ」