気をつけなって……
もう一度廊下を見ると、東条陽菜と目が合ってしまい、
ものすごい殺気で睨まれた。
……なんか超怖い。
大学の土地って事は確か……裏山の神社の総代さんのうちか。
祥太に近づく奴は呼び出して締める……振られているくせに、
すごいな……
チャイムが鳴り、杏は廊下側1番後ろの席に戻り、
あおいは前を向いて、
先生が入って来ると同時に、祥太と賢人くんも教室に入って来た。
今日は始業式だけで帰るから、帰りのホームルームが始まった。
初日から優しい友達ができて嬉しかった反面、
こそこそと言われたり、
睨まれたりもしたから、
また、明日が不安だった。
「いいかぁ、テスト勉強しろよ!
来週月曜日だからな。
後一週間、ちゃんとやれよ。
以上だ」
そっか、なんか夏休みの課題の確認テストがあるって言ってた。
みんな立ち上がり、帰り始めると、
杏が私の隣に来た。
「アドレス教えてよ」
私は嬉しくなって、携帯を取り出し、アドレスを交換した。
「私もあおいも、あんま細かい事気にしないタイプだから、
優衣も気軽にメールしてきなよ。
帰りは毎日祥太と帰るんでしょ?
ね、祥太」
祥太は杏に言われて、バッグを肩にかけて立ち上がった。
「ん?」
祥太は首を傾げた。
「なんだよ、聞いてなかったの?
祥太は毎日優衣と一緒に帰るんでしょ?
帰らないなら、うちらが優衣もらっちゃうけど」
私もバッグを持って立ち上がると、
祥太が私の手を掴んで、ぐっと自分に引き寄せた。
しょ、祥太……?
みんな見ているよ……
「優衣は、俺のだから」



