体育館に入ると、もうすでにほとんどが並び終わっていて、
私は一番後ろに並んだ。
始業式が始まり、よくわからない話を聞き流しながら、
目の前のあおいと、
その前の杏の背中を見つめた。
こんなにすぐに、声をかけてくれる子がいるなんて、
一緒に移動してくれるなんて、
思わなかった。
今までずっと、友達を作るのに苦労してきたから。
お兄ちゃんの事があって、私を私として見てもらえなかったから。
だから、高校もきっと、
お母さんの事があるから、みんなから避けられると思ってた。
友達なんて私にはもう、
無理だって思ってた。
くるっとあおいが振り向いた。
「ねぇ、声以外に体調が悪いとかはないの?
校長の話なっげーよ?
ずっと立っていて大丈夫?」
優しいな……あおい……
私は頷いた。
「そっか。
なんかあったら教えなよ」
私がまた頷くと、あおいはまた前を向いた。
その優しい言葉に、泣きそうになってしまって、
始業式の間、涙をこらえるのに必死だった。



