「約束」涙の君を【完】




祥太が不機嫌?


なんで……



「ういーっす!」



教室の後ろのドアが開くと、賢人くんが入ってきた。



「おい、麻生遅刻だぞ!

ほら、お前らも早く体育館に移動しろ!」



「おお!!優衣ちゃん!


同じクラスかよ!


制服姿もやっぱ超かわいいじゃん!



ポニーテールかよ!まじかー!!」




賢人くんは、先生の話を全く聞かずに、私の席まで近づいてきた。


「あれ、俺の席どこだ?」



「朝、ちょっと席移動したんだよ。

優衣の知り合いがそばにいた方がいいんじゃないかって、先生が。

だから、賢人は、祥太の前。



ていういうかさ賢人、空気読みなさいよ!

祥太が……ほら……」




祥太は頬杖をやめて、窓際の壁に背中をつけて、

こっちを向いていた。



「なんだよ祥太、

ヤキモチか、かわいいやつだな」




賢人くんは、そう言いながら、祥太の前の席にどかっと座った。


「妬いてんじゃねーよ。



ちょっと複雑なだけだよ」