祥太らしくない言葉に、思わず体を起こすと、
「寝てな」と肩を抑えようとした祥太の手を両手で握りしめた。
「あぁ……、小さい頃の話だよ。
今は父ちゃんの事、感謝しているし、尊敬もしてる。
俺も父ちゃんみたいに、優しい強さを持った人になりたいって思ってるよ」
優しい強さ……
祥太も持っているじゃん。
そう思って私は、うん、うんと頷いた。
「でも俺、全然なれてないなって気づいた。
あんな、ちっちぇー事で妬くし。
全然余裕ないし。
自分がこんなに独占欲が強いとは思わなかったよ。
俺さ……」
祥太が顔を上げた。
その言葉の続きはなんだろうと思って、首を傾げると、
祥太はあははって、笑った。
薄暗い中でも、祥太のくしゃっと笑うかわいい笑顔が見えた。
「やっぱ……なんでもない」
そう言って祥太は手を離して、私の前髪をくしゃくしゃっとしてから、
立ち上がった。
「じゃあ、またな。おやすみ」
祥太が向きを変えた瞬間、一気にさみしさが押し寄せてきた。
その言葉の続きは何?
もう少し…もう少しだけ一緒にいたい……
祥太を引き止めようとベッドから立ち上がると、頭がくらっとしてしまい、
体がよろけてしまった。
倒れる……と思った瞬間、
祥太の腕が伸びてきて、ストンと胸の中に抱きとめられた。
「大丈夫か?」
祥太は私の肩を押して、体を離そうとしたんだけど、私は離れたくないと思ってしまって、
祥太の背中に回した腕の力を強くした。
「優衣、また明日来るから」
祥太は私の頭をぽんぽんとした。
私は首をぶんぶんと振って、さらに祥太に強く抱きついた。
そしたら、
祥太も頭を撫でていた手を止めて、
ぎゅっと抱きしめくれた。
「このままずっと、
俺だけのものにしておきたいよ」