トントン
トントン
襖を叩く音で目が覚めた。
「優衣、入るぞ」
祥太……
ゆっくりと襖が開き、居間の明かりが部屋に漏れきて、
そのまぶしさに目を細めた。
またゆっくりと襖が閉まると、
常夜灯だけの明るさの部屋になり、
その暗さに目が慣れると、ベッドの横に座った祥太の顔がぼんやりと見えてきた。
「大丈夫か?」
私が起き上がろうとすると、
「横になったままでいいから」と、
私の肩を抑えた。
薄暗くて、祥太の顔がはっきりと見えなかったけど、
祥太が俯いているのはわかった。
「太一が見つかった時さ、
父ちゃんがすっげえ怒鳴って、思いっきりビンタしてたよ。
その時、思い出した。
あぁ、俺も父ちゃんに殴られたなぁって……
俺の場合は、家出だったんだけどさ」
家出……祥太が家出するなんて想像できない……
「俺なんかいなければよかったのにって思ってんだろって。
こんなガキを置いて行かれて、
迷惑してんだろって」



