「約束」涙の君を【完】





祥太は、あははっと笑って、自転車のハンドルを持ち、

スタンドをカタンと外した。


そういう祥太だって、

今日はワックスをつけているのか、

いつもよりもっとふわふわとしていて、


シンプルな白いTシャツに、黒いパンツを履いていて、



Vネックのせいか、ちょっと今日は大人っぽく感じた。



自転車の後ろに乗ると、やっぱり腕をつかんできて……

もう、何度祥太の背中にしがみついただろう。


何度背中に頬を寄せても、

やっぱりドキドキしてしまう。



駐輪場に着き、自転車を降りると、
ドーンと花火の音がした。

でも、ここは木々で囲まれていて、
花火は見えなかった。


「もう少し近くまで行ってみるか」


手を繋がれて歩いて行くと、


まっすぐの道の両脇に出店が並んでいて、
その間に人がいっぱい……


チラチラと見られるのは、自意識過剰なんだろうか。

それとも、私の家族のことを知っている人たちなんだろうか。


気にしすぎだとわかっていながらも、

前を向いていられなくて、

下を向いた。





「おう!祥太!!」