「約束」涙の君を【完】





突然のことで、どうしたらいいのかわからなかった。



ただ、心臓がバクバクとして顔が熱くて、


おでこに感触が残っていて……




恥ずかしさのあまり、もう一度ボードで顔を隠した。


「ばあちゃんが心配しているから、帰るぞ」




祥太の声がしてボードからまた顔を出すと、


祥太は家の方へ歩き出してしまっていた。



ボードを胸に抱えて祥太の後ろについて行くと、




祥太が立ち止まって振り返った。


そして何も言わずに手を伸ばしてきたから、

ちょっと走ってその手をつかんだ。



「その言葉消さないの?」




祥太は繋いだ手の反対の手で、胸のボードをつまんで中の文字を見た。


【祥太をひとりじめしたい‼】



わぁ…!消すの忘れてた……!



片手で消すのは無理だから、



繋いだ手を離そうとしたら、ぎゅっと強く握ってきて……



もう一度離そうとしたら、ボードを取られてしまった。



ボードの言葉をじっと見た祥太は、ふっと笑った。




「やっぱ消えないやつにしておけばよかったかな……」




そう言っていつまでもボードを見ているから、

すごく恥ずかしくて、



ボードを引っ張り返して、


胸の前に抱えて言葉を隠した。




「2学期から来るんだろ、高校」




あ……おばあちゃんから聞いたのかな。

私は深く頷いた。




「高校来ればわかるよ」




………?



私は首を傾げた。


「優衣の勘違いだって」