祥太ともう一人の男子は、自転車を引いていて、
女子たちは歩いていた。
一人の女子が、楽しそうに祥太に話しかけていて、祥太の腕を時々触っていた。
なんか、嫌だ……
橋を渡り切ると、
祥太は自転車に乗った。
すると、さっきの女子が祥太の後ろに乗った。
え……
しばらくそのまま立ち止まって、みんなで話をしていて、
女子が自転車から降りた。
そして、祥太は私が隠れている方の道へ、
他の生徒達は、向こう側の道へ分かれた。
祥太は私に気づかずに、私が隠れている木の横を自転車で通り過ぎて行った。
学校での祥太は、
なんか違って見えた。
私、勘違いしていたのかも。
私だけに優しいんじゃなくて、
みんなに優しいんだ。
私だけにかわいい笑顔を見せてくれるんじゃなくて、
みんなの前でも、
かわいく、くしゃって笑うんだ。
私だけを、自転車の後ろに乗せているんじゃなくて、
誰でも乗せちゃうんだ……
なんだ、そうだったんだ……
思い上がっていい気になって、
バカみたい……私。
私はゆっくりと、
家に戻った。



