「お前は誰だ?」

そう聞かれ驚く。

「だから…知らな「嘘付け。山崎に調べさせたが、お前みたいなガキの間者は長州にはいないそうだ。だとしたらお前は誰だ?」……」

「黙り込んだって無駄だ。」

その言葉にキュッと唇を噛みしめる。

「だからあたしは……記憶がない…」

「…はぁ…」

ービクッ

「嘘をつくな」

もうやだ。

そりゃたったの2日間だったけど、仲良くなれたとおもってたのに…。

「…でも…「男なら腹くくれ。」…」

男でもないのに…。

もう何もかもが面倒くさい。

「…はぁ…もういい。長州じゃないならここにおいて置く意味はねえしな。ほら、家帰れ。」

「でも家がどこにあるか…」

そんなのできるはずがない。

野宿してのたれじぬかもしれないのにここを出るわけにはいかない。

「あのなぁ、俺達だってどこの誰かをおいておくほどお人好しじゃねえんだ。わかったらさっさと出てけ」

「っ!」

「トシ…」

「近藤さん、甘やかすな。」

「…わかり…ました。今までお世話になりました。」

その夜あたしは何も持たずに新撰組の屯所を出た。