「…ふっぇ……」

何分経ってもないていると、バシッと後ろから誰かに叩かれた。

「ごほっ…」

あまりの痛さに少しむせる。

誰?と思いながらうしろを振り向くと、永倉さんだった。

「いつまでも泣いてんな。
シャキッとしろ。シャキッと!
でも…こんなとこに1人で来るなんて対したガキだ。」

そう言ってあたしの背中をバシバシ叩きながらがははと笑っている。

「………」

「ん?なんだ?怖いか?」

あたしがずっと永倉さんを見ていた為にそう思ったのか、そう聞いてきた。

ふるふると首を横に振ると、ニカっと真っ白な歯を見せていった。

「そっかそっか!
こいつらはともかく、俺はお前みたいなガキを斬ったりするほど鬼じゃねえからさ」

「……っ…うん…グス…」

あたしがそう言うと、永倉さんはふっと困ったような顔をして言った。

「だから…泣きやめ。
俺は、男でも女でも、ガキの泣き顔によええんだ。」

そのときの顔は、とても可愛くて、大の大人だって知ってても思わず笑ってしまった。