「……」

頭を撫でられるような感覚で目を覚ました。

目の前には満開の桜が広がっている。

あたしは…ここにいていい存在じゃない。

綺麗な桜をみながらそう思って涙を流した。

クウがお父さんとお母さんは?って聞いた時なんで大丈夫って言ったのか分かったよ…。

だって、あたしにお母さんとお父さんなんていないもんね。

「…なんで、泣いてるんですか?」

…沖田さんの膝枕で寝てるなんて気がつかなかった。

「……桜が…綺麗すぎて…」

不思議、

記憶が戻ったのに全然嬉しくない。

「…すきです…」

「え…?」

「…僕、空が好きです」

「あの…「返事は、いつでもいいですから」」

…どうしてこんなにタイミングが悪いんだろう。

でもよかった。

貴方に好きという前で。

お別れするのが悲しくなるでしょ?

クウが迎えにくるのはあの日から2年後。

もう1年たってるから、あと1年。

ここはあたしがいていい場所じゃない。

あたしが帰っていい家じゃない。

だから…ここを出よう。


満開の桜にある文字をみんなに気づかれない様に彫ってその日の夜、あたしは屯所を後にした。