「終わった?」


 新山が出てくるなり声を掛けたら、俺を取り巻いてた奴らが一斉にそっちを見た。

 新山はビクッと肩をひそめてうつむく。

 コイツ、マジ久々のヒットかも。

 ウキウキしながら歩き出すと、取り巻きも一緒に移動。

 ウゼー、ついて来んなよ。


 「掃除お疲れ」


 肩をポンポンと叩いたその手で新山の身体を前に押し出した。

 そして、手はそのまんま。

 新山は顔を真っ赤にしてずっとうつむいてる。



 スゲーいいわ、この女。

 今回は大したことやっちまうかも。




 車に乗るまで身のない会話につき合いながら、ひたすら新山のことを考えてた。

 新山のことっつうより、これからのこと、だな。

 ベンツの座席に乗り込んだ新山は今までの女と違って膝を倒さなかった。

 そのせいで太ももが斜めに上がってる。

 薄暗いオレンジ色の電気のせいか、スカートの影が太ももに濃く映っていた。

 とりあえずスカートの両端の裾を押さえてるけど……コイツ計算してんのか?



 太ももの裏側が微妙な見え方してんだよ。

 普通じゃ絶対ありえねぇ角度。

 電気が斜めに脚を照らすから陰影がつき、丸みを帯びた白い二等辺三角形が立体的に浮いて見える。

 オレンジに色づいた白熱灯の下じゃ白肌がボンヤリと柔らかく浮き上がり、

 触れてもねぇのにデケェマシュマロを掴んだような感覚がリアルに手に現れた。




 潰して~っ。



 拳を握ったら当たり前に感覚は消えて、握り潰したはずの欲望がリバウンドしてデカくなった。



 ココじゃヤベーよ。

 あとで鷹槻に何言われるか分かったもんじゃねぇ。