「八代くん、かき氷ありがとう」


 私はカップを受け取る。


「ん。 で、なんだって? 健たち心配してた?」


 八代くん、なんとなくわかるのかな?


「うん、そうみたい。 でも、大丈夫って言っておいたよ」


「あ、そ? でも一応戻る? 無理やり、俺が森田連れてきただけだしな。 今、健に電話…」


「私っ 八代くんと花火みたい」


 このまま戻るなんて嫌だよ…。


 『もっと、積極的になりなよ』


 前からずっと紫月に言われてる言葉が脳裏に浮かぶ。


 そうだよね、積極的にならなきゃダメなんだ。


 私、積極的になるよっ


「八代くんと見たいの」


 勇気をだして、真っ直ぐに八代くんを見ながら言う。


 八代くんは、驚いた顔をした。


 ヤダって言われたら、どうしよう…?


 あまりにも八代くんがずっと黙ってるから、思わず視線を下に向けてしまう。





「森田」


 八代くんが私を呼ぶ声がして、顔を上げる。


「…一緒に見たい。 見よ」


 甘く、優しい声で言う。


 八代くんは私の手を引いて歩き出した。