とある王子(兄)が引きこもりの姫(妹)を愛する(復讐する)話



部屋に入ってからはそれぞれ自己紹介することになった。女子4人はまだ高校3年生で、友達同士らしい。歳は近いけど、一応成人している俺達が手をだしたら犯罪だろ。未成年と合コンなんて聞いてないぞ、という視線を栗原に向けると彼は何を勘違いしたのか手を振ってきた。やめろ。



「んじゃあ次はこっちの番ね!俺は栗原大地!20歳!大学生やってまーす。」

「どこの大学行ってるんですかー?」
「○○大学!」
「頭いいとこじゃん!すごーい。」
「すごいだろ?俺頭だけはいいからさー。」


ノリがいい栗原は既にこの場に馴染んでいた。さすがだ。


「俺は青葉健太(あおばけんた)。22歳で大学生。一応、栗原の部活の先輩。な、栗原?」
「まあ、一応先輩。」
「一応ってなんだよ一応って!」
「で、俺が青葉の友達の武蕊直樹(むしべなおき)ー!よろしくー!」


「...。」

コイツ、今ムシベっていったよな?もしかして、チャットのムシって、「次は王子様の番な!」

栗原の言葉で思考が遮られた。手短に、「川中王子。栗原の高校時代の友達。」とだけ言うと「ねえねえ、おうしってどうかくの?」と問われた。

王子、とかくことを伝えればキャー!リアル王子様!と歓声があがる。悪ノリした栗原まで騒ぎ出す始末だ。


とりあえず自己紹介を終え、適当に料理メニューから選び注文して歌うことになった。もちろん、一番に歌うのは栗原だ。



歌をぼーっと聞いていると突然俺の右隣りに笹木がやってくる。「あ、私もいくー!」それをみた笹木の友人が俺の左隣に座った。

二人に囲まれて、質問攻めが始まり自然と表情が険しくなった。少しキツめの香水の匂いが鬱陶しい。