ダイヤの恋人 〜June bride〜

バスルームには、プルメリアの香りが広がっていた。


それがアロマキャンドルのせいだと気付いたのは、窓際に置かれているキャンドルに小さな炎が灯っていたから。


「おいで」


一歩も動けずにいたあたしを、理人さんが優しい瞳で促して来る。


「あ、あんまり……見ないで下さい……」


途端に恥ずかしくなって両手で出来る限り体を隠しながらも、何とか最初の一歩を進めた。


踏み出した足が、僅かに震えている。


スイートルーム内のバスルームは、ドアからバスタブまでの距離が必要以上に遠くて。


気持ちばかり落とした照明は、大理石の床までも明るく照らしていて。


バスタブに浸かったままあたしを見つめる理人さんの視線が、全身に突き刺さっている気がした。