「本当は、もう少しゆっくり出来たら良かったんだけど」


少しずつオレンジ色に染まり始めた海岸に着くと、理人さんが呟くように零した。


「ごめんね。ハネムーンも兼ねてるのに、三泊しか出来なくて……」


申し訳なさそうに微笑む彼に、首を横に振る。


「充分ですよ」


その言葉に、嘘は無い。


理人さんが傍にいてくれるだけで本当に幸せだし、この結婚式の為に彼がどれだけ忙しかったのかをよく知っているつもりだから…。


「こんなに綺麗な場所で理人さんと一緒に過ごせて、あんなに素敵な結婚式を挙げられて……本当に夢みたい。あたし、とっても幸せです。きっと、世界で一番の幸せ者だと思います」


その気持ちを込めて微笑むと、理人さんも幸せそうに笑った。