ダイヤの恋人 〜June bride〜

祝福の音色を奏でる美しい鐘。


ガラスの向こうで輝く碧い海。


優しく微笑む愛する男性(ヒト)。


それらに引き寄せられるように、ゆっくりと足を踏み出す。


オレンジとレモンイエローのピューフラワーに囲まれたバージンロードが、歩く度に靴の音を小さく響かせる。


パイプオルガンのメロディーと鐘の音に混じると、それはすぐに掻き消されてしまうけど…


一歩、また一歩と足を進める度に縮む理人さんとの距離に高鳴っていく心音は、美しい鐘よりも大きく響いている気がした。


柔らかで穏やかな愛を抱く心に、一点の曇りも無い幸せが広がっていく。


理人さんが待つ祭壇に辿り着く直前、ほんの僅かな時間だけそっと瞼を閉じてから、優しく微笑む彼を真っ直ぐ見つめた。